• 研究成果

すばる望遠鏡OASIS計画の初成果:巨大惑星と褐色矮星の発見

発見された巨大ガス惑星「HIP 54515 b」の連続画像。矢印で示されているのが「HIP 54515 b」で、星形のマークは主星(HIP 54515)の位置。点線は、主星からの光を遮るマスクの輪郭。(クレジット:T. Currie/Subaru Telescope, UTSA) 画像(358KB)

すばる望遠鏡による高精細な撮像と、宇宙望遠鏡のデータを組み合わせることで、恒星を周回する軽い天体が2つ発見されました。巨大ガス惑星や褐色矮星(わいせい)の像を直接捉え、その性質を明らかにすることを目指す探査計画 「OASIS(オアシス)」の初成果です。

OASISでは、まず恒星の位置を精密に測定した宇宙望遠鏡のデータから、わずかなふらつきを示す恒星を特定します。そしてその恒星をすばる望遠鏡で撮影して、恒星を周回する軽い天体を直接捉えます。軽い天体の質量や軌道を精密に測定できるのが、OASISの大きな特徴です。

OASISで最初に発見された「HIP 54515 b」は、木星の18倍弱の質量を持つ巨大ガス惑星です。主星からわずか0.15秒角しか離れておらず、その姿を直接捉えることは、すばる望遠鏡が搭載する観測装置の限界に迫る挑戦でした。また、2つ目に発見された「HIP 71618 B」は、木星の約60倍の質量を持つ褐色矮星です。この系は、2027年に打ち上げが予定されているローマン宇宙望遠鏡が太陽系外惑星を撮影するためのテストに好適なことが分かりました。今後の太陽系外惑星の研究を進展させるために大きな役割を果たすと期待されます。

今回の発見は、恒星の位置測定と高精細の撮像を組み合わせることで多くの情報が得られることを実証しました。OASISはすでに数十個の候補星を調査しており、今後さらに多くの発見が続くと期待されます。これらの成果は、巨大ガス惑星や褐色矮星がどのように形成され、その大気がどのように進化するのかを理解する上で重要です。さらに将来、生命が存在しうる地球型惑星を見つけるための望遠鏡技術の発展にも寄与するでしょう。

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すばる望遠鏡

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